
筑摩書房刊、ちくま文庫、537頁の大作。2018年第160回直木賞候補作。(受賞作は、真藤順丈氏の「宝島」)
物語~1945年7月、敗戦直後の米ソ英仏の4ケ国統治下にあるベルリンを舞台に、米軍兵員食堂で働く17歳の少女アウグステは、戦時下、自らを保護し育ててくれた恩人が不審死したことに疑問を抱かれ、 NKVD(ソ連諜報機関)の追及を受けるっことに・・・。
戦時下のドイツ・ベルリンの市街とその下での市民生活の詳細が、まるで細密画を見る如く描かれている。そのためもあって読書は遅々として進まず、本書の読了に10日近くを要することになった。
そこには、ナチスによるユダヤ人迫害はもとより、民族排外主義にもとづくポーランドなど占領地域から徴用された労働者への差別なども加わって国民は分断され、ヒトラーによる戦争国家造りを容易にした。
こうした民族排外主義は、現下の我が国にも(参政党などにより)持ち込まれており、注意する必要がある。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)
選者評~浅田次郎氏
「私は迷わず推した。人物描写がていねいで、風景もまるで細密画を見るようである。これだけ密度の濃い小説は今日稀である・・・。」


